シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編
RFLP法
戸田 年総
1
Tosifusa TODA
1
1東京都老人総合研究所分子生物学部門
キーワード:
RFLP法
,
遺伝子診断
,
DNA
Keyword:
RFLP法
,
遺伝子診断
,
DNA
pp.725-728
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902952
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はじめに
生物個体は,形態形成からエネルギー代謝,物質代謝のすべてを遺伝子(ゲノム)の支配の下に行っている.1つの遺伝子は染色体(クロモゾーム)上のDNA塩基配列の一定領域に分布し,1つの蛋白質をコードするための複数のエキソンとそれをつなぐイントロンおよび発現を調節する部分で構成されている.ヒトの場合23対の染色体上に5~10万の遺伝子が載っていると言われており,1個の細胞内では2,000~4,000程度の遺伝子が発現していると考えられている.遺伝病や家族性の疾患は,これらの発現遺伝子に欠損や異常があった場合に現れる病態であると考えられている.
また遺伝子は進化の過程でさまざまな変異を受けてきたため,同一の動物種内でも異なる個体間では同じ遺伝子座(同じ機能を持った蛋白質をコードする遺伝子領域)のDNA塩基配列が異なっていることがある.このような座位の遺伝子を対立遺伝子(アレル)と呼ぶ.対立遺伝子による多型性(ポリモルフィズム)が体型や性格などの個性を生み出しているのであるが,一方で,ある種の疾患の発症リスクや,移植組織の適合性を規定していることも確かである.したがって,事前に遺伝子のタイプを知ることで,疾病の発症を未然に防いだり,臓器移植後の拒否反応を最小限に抑えたりすることができる.
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