増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
3.応用編—遺伝子検査を利用する
3)遺伝性疾患
(5)血栓症
濱﨑 直孝
1
1九州大学大学院医学研究院臨床分子医学
pp.1112-1116
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906374
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はじめに
今日ではヒトの全遺伝子がほぼ明らかにされたといわれている.このような偉業が成し遂げられたのも,ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)法がMullis KBによって考案されたのが大きく貢献している.このような技術のおかげで,さまざまな疾病の病因解析にも遺伝子レベルまでの解析が容易にできるようになってきた.しかしながら,ゲノム計画の最終的な目標である人類の福祉向上と医療現場への応用面については今まさに端緒についたばかりである.その際,最重要な課題の1つは個々の遺伝子の機能とその変異および後天的環境要因を含めた視点での病態解析や診断および治療の体系化にあると考えられる.
一方,ヒトゲノム計画の急速な進展の背景には,DNA配列解析装置の高速化,PCR法,DNAチップなどの簡便な方法論の確立がある.医療機関でのこれらDNA検査手法の幅広い普及が体質的背景と疾病発症との因果関係を明らかにし,流行の言葉でいえば,テーラメイド医療を加速させると考えられる.特に,病院検査部にこのような体制ができているか否かはその病院の医療の質を左右する重要なポイントになる.
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