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時計遺伝子が細胞で振動する機構
石田 佳毅
1
,
八木田 和弘
1
,
岡村 均
2
1神戸大学大学院医学系研究科脳科学講座分子脳科学分野
2神戸大学大学院医学系研究科脳科学講座
pp.1415-1418
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906062
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はじめに
地球には自転に伴う約24時間局期の明暗の変化があり,生物はその変化にうまく適応して生活している.ヒトは日中活動し,夜間睡眠をとるという24時間周期の生活を営んでいるが,ヒトのもつ生理現象はどうであろう.例えば,体温は睡眠中最低値を示し,午後から夕刻にかけて最高値をとる.松果体からのメラトニン分泌は夜亢進し,昼間抑制される.このように体温,血圧,脈拍,ホルモン分泌など多くの内的な生理現象も,睡眠-覚醒のリズムと同じく約24時間周期で変動する.この約24時間周期で繰り返される生体リズムをサーカディアンリズム(circadian rhythm,概日リズム)というが,このリズムは地球の自転が作り出す24時間周期の明暗,もしくはその他の環境因子によって引き起こされるのだろうか.
完全に外界の時間情報から隔離された部屋に,ヒトを長期間住まわせて生体リズムを測定したところ,ヒトには25時間の生物時計(biological clock,体内時計)が存在することが明らかとなった.体内時計の周期は,ショウジョウバエでは23.3時間,マウスは23.5時間,ラットは24.5時間であり,種によって異なる固有の時計を持っていることがわかっている.
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