増大特集 生命動態システム科学
Ⅰ.定量生物学
2.組織・個体の計測
2)発生
(3)発生と遺伝子発現振動
影山 龍一郎
1,2
Kageyama Ryoichiro
1,2
1京都大学ウイルス研究所 増殖制御学分野
2京都大学 物質-細胞統合システム拠点
pp.426-427
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200022
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■はじめに
発生過程特異的に働く生物時計の代表例として,体節形成を制御する分節時計がある。体節は尾部にある未分節中胚葉の前端部が周期的に分節することによって形成される。マウスの場合は約2時間周期で分節が起こり,左右1対ずつ体節が形成される。分節時計の実体はHes7因子の発現が約2時間周期で振動することによる1)。Hes7の発現はなくなっても,一定に持続してもだめで,いずれの場合も体節は癒合し,体節由来の組織である椎骨や肋骨も癒合する。したがって,Hes7の発現は2時間周期で振動することが必須である。本稿では,発現振動の分子機構と意義について概説する。
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