技術講座 免疫
TSHレセプター抗体の測定法と定量化
水越 常徳
1
,
今井 浩三
1
1札幌医科大学医学部第1内科
pp.1161-1167
発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905997
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新しい知見
現在,バセドウ病の診断においてのTSHレセプター抗体の測定意義に関してはほぼ満足できるものであると思われる.しかしながらバセドウ病から機能低下症へ,もしくは逆を含めての可逆性甲状腺機能異常も報告されている.実際にそのような場合TSAbとTSBAbの両活性が混在していることも多いようである.バセドウ病へ移行するのか機能低下症へ移行するのかは併存する両抗体の活性の差で説明できるとされている.TSAbとTSBAbが共存しeuthyroidを維持している例も報告されている.これら共存例はPEGの濃度を上昇させることにより検出されていることもあり今後測定法の改良が更に進むことになれば,バセドウ病の原因であるTSHレセプター抗体の診断と病態の解明に役立つことと期待される.
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