臨床検査に必要な統計処理法・18
モンテカルロ・シミュレーション—コンピュータの擬似乱数を用いた現象解析法
細萱 茂実
1
1山梨医科大学医学部附属病院検査部
pp.549-553
発行日 2001年6月1日
Published Date 2001/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905831
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はじめに
シミュレーションというと,飛行機やロケットの飛行実験や,原子核反応の臨界実験などを連想する.しかし,コンピュータが手軽に利用できる今日,扱う解析対象やその規模の大小を問わず,広範な分野・領域で頻繁にシミュレーションが利用されている.
目的とする現象が手軽に再現できる場合は直接実験を行えばよい.しかし,解析対象にさまざまな要因が複雑に影響を及ぼし合っている場合は,それぞれの要因を任意の条件で個々に設定し,それら組み合わせを1つひとつ再現実験するには,膨大な労力やリスクを伴う.そこで,解析対象を模擬化したモデルを設定し,それを操作することで現象の理解を深めようとする技法がシミュレーションである.ここでは,臨床検査データの基準値解析や精度管理などに,コンピュータの発生する擬似乱数を用いたモンテカルロ・シミュレーションを適用する方法を取り上げる.基準値や測定誤差など,一定の確率分布が想定できる現象を解析する手段として本技法の利用価値は高い.
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