ひとこと
検査の自動化
大場 操児
1
,
山藤 武久
2
,
菅沼 源二
3
,
新谷 和夫
4
1獨協医大病院中検
2東洋公衆衛生学院
3PL病院
4関東逓信病院血液学検査科
pp.226-227
発行日 1977年3月1日
Published Date 1977/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201314
- 有料閲覧
- 文献概要
検査室に押し寄せる自動化機器の群に技師は困惑し,その選択を困難にさせている.検査の自動化は作業能率を向上させ,測定項目を拡大するが,単純な繰り返し作業から解放されたと喜んではいられない.検討なしに導入した自動化法は測定値をバラツかせ,呈色,反応の異常を見逃し問題点を解明し難い結果にしている.高価な機器操作の誇りは認あるが,自動化機器の単なる使用は技師を上位に格づけることとは結びつかない.検査室の片隅での部分的自動化で,機器のこ気嫌を伺う中に夢を追う技師もあるが,完全自動化の暁に技師の存在価値を疑う人もある.しかし技師を単なる"ボタン押し"係とするには高価に過ぎよう.測定法の改良,新技術の導入,自動化不可能項目の処理など仕事は山積している.自動化機器に測定法を合わせる努力が盛んな現状であるが,技師には測定法を開発する能力が残されている.自動化機器は判断力を持たず,故障時もデータをたたきだす怪物であり,機器の利点・欠点を知り能力を過信することは危険である.
学校では機器の細部を教えるより,実地に即した物理,化学及び電気測定器具の使用法の指導,現場を経験した技師の母校教育への復帰こそ,日常業務の中から必要と痛感している.機器の教育は現場が有利で,機器とのスキンシップなしに彼らの問題点を解決することはできない.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.