技術解説
凝固因子の免疫学的測定法
浅井 紀一
1
1名古屋大学,検査部
pp.713-721
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914801
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血液凝固因子はタンパクを主とする高分子物質の特性として免疫原性を有し良き抗原であるので,それらの非経口的投与により,動物に抗体を生成せしめるほか,ヒトにも輸血抗体や自然抗体を発生せしめる.これらの異種・同種抗体はタンパク抗原の常として沈降素を主とするものであり,したがって沈降反応による各種測定法や,その生物学的活性阻止能の検出法による凝固因子の免疫学的測定が可能である.
凝固因子の抗血清が研究上使用されたのは1950年代後半で,Halickら(1956)やSchwickら(1959)のプロトロンビン抗体,Richard (1956),Shanbergら(1957)の第Ⅷ因子抗体の実験に始まり,他方臨床例ではFantle (1956)の血友病Bにおける第Ⅸ因子抗体の発見と,それを用いた中和法による後の分子異常症の検出,Ménaché(1963)の異常フィブリノゲン血症Paris Iの抗フィブリノゲン血清による免疫学的裏付けに始まる.しかし,これらの初期の抗血清は凝固因子精製の技術的困難さから,単一因子に対する特異性に優れず,成績の解釈が困難なことが多かった.
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