検査データを考える
抗凝固療法中の患者の検査値の動き
腰原 公人
1
,
新井 盛夫
1
1東京医科大学臨床病理学教室
pp.75-79
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905717
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はじめに
血管内において血液は常に流動性を保持しているが,血管内皮細胞が損傷を受けると,同部位に限局して止血血栓が形成される.そして,損傷部位が修復されると,形成された血栓は溶解し,局所の血流はもとに戻る.血小板,凝固因子,凝固制御因子,線溶因子,血管内皮細胞は複雑に関与し合い,恒常的に血液の流動性を保っている.
しかし,凝固・線溶系の不均衡,炎症による内皮細胞傷害,動脈硬化による血流の乱れ,血液粘度の増加などが生じた場合には,病的な血栓を形成することがある.そして,血流が途絶えることによって起こる梗塞,流れを求めて発生する静脈瘤,線溶系に歯止めがかからずに生じる出血など,さまざまな二次的な病態を引き起こす結果となる.
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