臨床検査に必要な統計処理法・9
生理的個体問・個体内変動の大きさの推定—枝分かれ配置データの分散分析法
細萱 茂実
1
1山梨医科大学医学部附属病院検査部
pp.1275-1278
発行日 2000年9月1日
Published Date 2000/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905616
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はじめに
臨床検査値を解釈する際の基本的な尺度は,健常者が示す基準値である.ただし,健常者の検査値も,遺伝的要因,時間的要因,生活習慣など,さまざまな要因により変動を示す.これら生理的変動要因の中で,疾病の早期発見や健康管理を目的とする際に,特に考慮すべき要因が個体間・個体内変動である.多くの血中成分は生体の恒常性により一定の濃度範囲内(個体内変動)にあるが,そのレベルには個人差(個体間変動)があり,それら変動の様子を事前に知っておくことは検査値の適切な解釈につながる.
一方,従来報告されてきた生理的個体間・個体内変動の推定値には,測定誤差に起因する変動が含まれていたり,統計解析に問題があるものも少なくない.そこで,ここでは個人差が大きい成分として知られている血清尿酸濃度を例にとり,個体間・個体内変動の大きさを適切に推定するための方法について述べる.
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