特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩
1章 臨床検査の技術的評価の考え方と統計処理法
3. 枝分かれ分散分析による変動成分解析
山田 輝雄
1
,
岩崎 学
2
,
加野 象次郎
1
Teruo YAMADA
1
,
Manabu IWASAKI
2
,
Shojiro KANO
1
1東京逓信病院臨床検査科
2成蹊大学理工学部情報科学科(統計学)
キーワード:
枝分かれ実験
,
分散分析
,
変量模型
,
有意差検定
Keyword:
枝分かれ実験
,
分散分析
,
変量模型
,
有意差検定
pp.1293-1296
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100304
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はじめに
実験精度を統計的方法で評価する場合,実験の反復(replication)が重要なことは,実験計画法の創始者R.A. Fisherの3原則の中で述べられている(図1)1).さらに,処理(treatment)の中に含まれる系統的変動を偶然変動に転化するための無作為化(randomization)も必須の条件となる.反復と全実験の無作為化を満足する実験配置を完全無作為化法(completely randomized design)と言うが,多数処理の反復実験を完全無作為化することは,現実的には極めて困難なことが多い.このような場合には無作為化をいくつかの段階に分けて行う分割実験(split-plot design)が利用される.
分割実験のうち,対応のない変量因子を2つ以上取り上げ,実験順序を木の枝分かれのような形状で決める配置を枝分かれ実験(nested design)と言う1~3).枝分かれ実験の分散分析(analysis of variance;ANOVA)は,計測界における「不確かさ」の概念4)が臨床検査領域を含め5,6),広く一般化されつつある中で,統計的不確かさ(Aタイプ)の推定法の1つとして,最近注目されるようになってきている.
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