技術講座 微生物
メタロ-β-ラクタマーゼの検出法
柴田 尚宏
1
,
荒川 宜親
1
1国立感染症研究所 細菌・血液製剤部
pp.1017-1025
発行日 2000年7月1日
Published Date 2000/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905547
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新しい知見
メタロ-β-ラクタマーゼ(metallo-β-lactamase)は,その活性中心に亜鉛を持つβ-ラクタマーゼで,ペニシリン系,セフェム系抗生物質を分解するだけでなく,クラブラン酸,スルバクタムなどのβ-ラクタマーゼ阻害剤,さらに各種のβ-ラクタマーゼに安定とされるカルバペネムをも分解してしまう.従来のディスク拡散法,微量希釈法では,第三世代セフェム薬,セファマイシン系薬に耐性を示す菌が,メタロ-β-ラクタマーゼを産生する株なのか,あるいはESBLや基質拡張型のAmpC型β-ラクタマーゼを産生する株なのか区別することは難しい.
今回紹介する2-メルカプトプロピオン酸(2-MPA)はチオール化合物の一種で,メタロ-β-ラクタマーゼの活性中心に働きかけ酵素作用を阻害する.この物質をディスク拡散法に応用し,メタロ-β-ラクタマーゼの検出を試みた.この方法は特異性と検出感度が高く,しかも簡便で安価ですむため,臨床検査の現場での日常的な検査として期待できる.
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