今月の主題 薬剤耐性菌をめぐる最近の話題
いま話題の耐性菌
メタロ-β-ラクタマーゼ産生グラム陰性桿菌
柴田 尚宏
1
,
土井 洋平
1
,
荒川 宜親
1
Naohiro SHIBATA
1
,
Youhei DOI
1
,
Yoshichika ARAKAWA
1
1国立感染症研究所細菌・血液製剤部
キーワード:
メルカプト化合物
,
メタロ―β―ラクタマーゼ
,
グラム陰性桿菌
,
カルバペネム耐性
Keyword:
メルカプト化合物
,
メタロ―β―ラクタマーゼ
,
グラム陰性桿菌
,
カルバペネム耐性
pp.840-850
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904836
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メタロ-β-ラクタマーゼ(metallo-β-lactamase)は,その活性中心に亜鉛をもつβ-ラクタマーゼで,ペニシリン系,セフェム系抗生物質を分解するだけでなく,クラブラン酸,スルバクタムなどのβ-ラクタマーゼ阻害剤,さらに各種のβ-ラクタマーゼに安定とされるカルバペネムをも分解してしまう酵素である.そうした酵素を産生する耐性菌が,わが国における臓器移植,免疫療法,癌治療などの高度医療の発展に伴い,グラム陰性桿菌感染症で問題になりつつあり,さらにそれらが高度耐性を獲得するような場合,臨床的に非常に問題となると考えられる.しかし現状では,従来のディスク拡散法,微量希釈法により,第三世代セフェム薬,セファマイシン系薬に耐性を示す菌が,メタロ-β-ラクタマーゼを産生する株なのかあるいはESBLや基質拡張型のAmpC型β-ラクタマーゼを産生する株なのか区別することは難しい.そこでわれわれの開発した2-メルカプトプロピオン酸(2-MPA)やメルカプト酢酸ナトリウム(SMA)を用いたメタロ-β-ラクタマーゼ産生菌の検出法は安価で簡便であり,臨床現場での耐性菌の早期発見,院内感染対策にも役立つと期待できる.
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