検査データを考える
骨髄異形成症候群の血球異常
木崎 昌弘
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.49-54
発行日 2000年1月1日
Published Date 2000/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905270
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はじめに
血液疾患の診断に際して1枚の塗抹標本から得られる情報は大きい.特に急性白血病の診断は世界中で形態学的分類を基本とするFAB分類に基づいてなされ,治療法が選択されている1).また,再生不良性貧血と骨髄異形成症候群(myelodysplastic symdrome;MDS)のように類似する点の多い疾患の鑑別の決め手になるのも,塗抹標本から得られる血球形態に関する情報であることもよく経験する2).さらに,血液疾患には1つの疾患でも病態が変化するものがある.例えば,慢性骨髄性白血病は数年間の慢性期を経て急性転化するのが一般的である.このような血液疾患の診断や病期の決定には,正確に塗抹標本を評価することが重要であることはいうまでもない.
MDSは無効造血と血球形態異常を特徴とする造血幹細胞レベルの異常に起因する疾患である3).その一部は将来的に急性白血病に移行することが知られており,臨床的にも再生不良性貧血との鑑別は重要である.本疾患の診断には血球形態異常が決め手になることから,骨髄あるいは末梢血の塗抹標本を的確に判断することが重要である.さらに,その経過の中で病態の変化を確実にとらえ,診断することが正確な治療方針を決定し,患者の予後を推測するうえでも大切である.
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