増刊号 緊急検査実践マニュアル
各論
5.微生物(感染症)検査
2)免疫学的検査 c)ウイルス感染症 臨床編—[1]肝炎ウイルス(HBs抗原,HBs抗体,HCV抗体)
横須賀 収
1
,
神田 達郎
1
1千葉大学医学部第1内科
pp.892-896
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903898
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検査の意義と目的
これまで明らかにされている肝炎ウイルスとしては,A型,B型,C型,D(デルタ)型,E型肝炎ウイルスがある.A型肝炎は経口感染で急性一過性感染に終わる.B型やC型肝炎には急性肝炎と慢性肝炎がある.
わが国における慢性肝疾患の多くは,B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus;HBV)またはC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)がその原因と考えられている.D型肝炎ウイルス(hepatitis D virus;HDV)はHBVに寄生的に感染するものであり,わが国ではB型肝炎患者の1〜2%に見られるにすぎない.また,E型肝炎も経口感染で伝播し,一過性急性肝炎を発症するが,亜熱帯や熱帯地方で見られるものであり,わが国ではほとんど認められない.すなわち,わが国におけるウイルス性急性肝炎はA型,B型,C型が主要な原因肝炎ウイルスである.また,慢性肝疾患はB型あるいはC型が主要な原因肝炎ウイルスである.
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