検査データを考える
肝炎ウイルス検査―HBs抗原とHCV抗体
小西 奎子
1
1独立行政法人国立病院機構金沢医療センター臨床検査科臨床検査科
pp.833-838
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100716
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はじめに
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)とC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)は肝炎や肝硬変,最近増加している肝癌の約90%を占めるなど重要な肝疾患の病因である.一方,キャリア(持続感染者)の存在に伴う肝炎発症,特にB型肝炎における劇症化やC型肝炎の高い慢性化率から,このHBVとHCVは医療機関において重要な感染予防の対象となる.観血的検査や処置を受ける患者や,入院患者を対象にHBVとHCVの感染有無を検査する必要があり,輸血後肝炎予防のためには献血者のスクリーニングが不可欠である.HBVの感染有無はHBs(HBV surface)抗原が,HCVの感染有無はHCV抗体が検査され,陽性者は感染者として扱われる.感染症の検査は「病原体がいるか否か」が求められる検査である.HBs抗原とHCV抗体を中心にHBVとHCVの関連検査について「ウイルスがいるか否か」の診断意義を考える.
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