増刊号 緊急検査実践マニュアル
各論
1.生化学検査
8)アンモニア 臨床編
木下 順弘
1
1香川医科大学救急部
pp.727-729
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903838
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アンモニア測定の意義
正常人の血中アンモニア濃度は極めて低い.アンモニアはアミノ酸の代謝産物として体内で絶えず産生されているうえ,腸管内では細菌がアミノ酸を分解しアンモニアを産生する.アンモニアは腸管内から門脈に吸収され,肝で処理される.その過程は,アミノ酸に再合成されるか,グルタミン酸からグルタミンが合成され,プリン,ピリミジン,アミノ糖などの合成にまわるか,オルニチンサイクルに入り尿素として解毒され,腎から排泄されるかである(図).
このことより,極端に過剰な食事性蛋白摂取を除けば,血中アンモニアが上昇するのは,門脈血の大部分が肝を通過しない(門脈-大静脈シャントの開大)か,肝でのアンモニア処理能が低下していることを意味する.
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