技術講座 生理
トレッドミル負荷心電図のとりかた
國島 友之
1
,
武者 春樹
2
1聖マリアンナ医科大学第2内科
2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院循環器内科
pp.939-949
発行日 1998年10月1日
Published Date 1998/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903620
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新しい知見
運動負荷試験による心筋虚血誘発には多種の日内変動要因が関与し,従来より午前中に心筋虚血変化が誘発されやすいと報告されているが,必ずしも一律ではなく,施行時間により多様な反応を認める.また,心室頻拍や心室細動の発生直前にT波の微小変化が交互に現れる現象(T wave alternans)が報告されている.これは,非侵襲的な運動負荷(エルゴメーター負荷)・心房ペーシング・薬物負荷で心拍数を110拍/分以上に安定させた状態でのT波の1心拍ごとの面積を周波数解析し,周期性を検討するもので,突然死の可能性を示唆するものとして注目されている.同様に標準12誘導心電図における最大QT間隔と最小QT間隔の差(QT dispersion)も心室再分極過程の不均一性を反映し,突然死を誘発する心室頻拍や心室細動などの重症不整脈の発生の指標と注目されている.近年,運動負荷試験中のQT dispersionの変化が心筋虚血の影響を受けることが明らかになってきており,今後の検討が望まれる.
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