技術講座 生理
末梢神経伝導の検査法
今井 忠彦
1
,
向井 照二
2
1丹後ふるさと病院内科
2丹後ふるさと病院検査部
pp.867-875
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903603
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新しい知見
最近の重要な話題は,新しい刺激装置である磁気刺激装置が開発されたことである.その原理は,コイルないし8字型の刺激装置で1.5テスラの磁場を加え,頭皮上運動野を刺激するものである.下行性の運動神経伝導を検討するものとして初めに応用されたが,脊髄神経根を刺激し,末梢神経近位部の検査にも多数の研究が報告されている.従来,神経伝導検査は主に四肢の末梢部で施行し,近位部はF波などで間接的にしか反映されなかった.しかし,今後臨床応用が進むものとして期待される.また,より高圧の電気刺激装置も開発され,背部表皮上からの刺激で安定して筋活動電位を得られるようになった.刺激の持続時間は短く,心配される疼痛は起こらない.
通常の神経伝導検査では,髄鞘病変,すなわち脱髄に対して感度が高いのに比べて,軸索障害の情報は少ない.従来から,軸索膜の刺激閾値を調べることによって軸索の機能を見る方法が紹介されていたが,手技が難しかった.条件刺激と試験刺激を組み合わせて,複合筋活動電位を記録して,運動神経の興奮閾値をそれぞれ調べる方法も開発された.しかし,刺激装置,記録装置が特殊で,市販されていないため,普及には至っていない.
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