トピックス
衝突法による末梢神経伝導速度
原山 尋実
1
1新潟県立がんセンター新潟病院神経内科
pp.623-624
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901631
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末梢神経伝導速度検査は末梢神経を興奮が伝わる速度を求める検査法で,多発性神経炎などの末梢神経を障害する病気の診断に欠かせない検査法である.従来から行われている末梢神経伝導速度の測定法は,神経束を異なる2点で刺激して,その反応の出現する時間(潜時)の差を距離で除して求める.したがって多数の神経線維からなる神経束のうち,最も速い伝導速度を持つ神経線維の伝導速度が求まる.しかし遅い伝導速度を持つ神経線維の速度を求めることはできない.疾患によっては遅い伝導速度を持つ神経線維が侵襲を受けやすいこともあり,遅い伝導速度を持つ神経線維の伝導速度を求めることができれば,診断や病態解明に寄与できる.このため非侵襲的に遅い伝導速度を持つ神経線維の伝導速度を求める試みがなされている.その1つに衝突法を用いた方法がある.
神経線維を離れた2点で同時に刺激すると,2つの興奮は両方向に伝わる.このうち近位部から遠位部に向かう興奮と,逆に遠位部から近位部に向かう興奮は,刺激間の神経線維上で“衝突”を起こし,それより先には伝わらない.神経線維は一度興奮するとある期間興奮できなくなる.この期間を不応期という.“衝突”の意味は,一方からの興奮によって神経線維が不応期になるために他方からの興奮が伝わることができなくなると考えることができる.
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