Japanese
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特集 新しい末梢神経伝導速度測定法の試み
Inching techniqueによる末梢神経伝導速度検査法
Nerve Conduction Study Using Inching Technique
町田 正文
1
Masafumi Machida
1
,
Jun Kimura
2
1日本大学医学部整形外科学教室
1Department of Orthopedics, Nihon University, School of Medicin
2Division of Clinical Electrophysiology, University of Iowa Hospitals & Clinics
pp.825-835
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205965
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緒言
神経疾患の補助的診断法として,電気生理学的検査法は広く臨床に応用されている。ことに,末梢神経の神経伝導性については数多くの研究がなされ,現在では知覚,運動神経伝導性の検索はroutineな検査法の一つとなっている。その結果,臨床所見のみでは診断が困難な症例の補助的診断や損傷の範囲および程度を客観的に判定し,それに基づく治療方針の決定などが可能となった。また,最近の医用コンピューターの目覚ましい進歩により,これらの検査がより容易に行えるようになった。
しかし,従来の神経伝導速度検査法では長い伝導距離を用いて神経伝導速度を求めているため伝導異常が狭い範囲に限局している神経障害の初期例や軽症例では,大部分が正常な伝導性を有しているため,これに相殺されて神経伝導速度が正常範囲内になることが多い。1976年,Brownらは手根管症候群や肘部管症候群の手術中に露出した正中および尺骨神経を0.5cm間隔で直接刺激する方法を試み,障害の局在部位を明らかにし,狭い範囲の障害診断にもこの方法が有効であることを報告した。また,Kimura (1979)は正中神経に沿って皮膚上より1cm間隔で刺激し複合筋活動電位および知覚神経活動電位を記録する,いわゆるinching techniqueを手根管症候群に応用し,伝導障害部位を明らかにすると同時に早期診断に有用であることを強調した。
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