技術講座 生化学
潜在基準値の考えかたと統計処理法
細萱 茂実
1
,
尾崎 由基男
2
1山梨医科大学医学部附属病院検査部
2山梨医科大学医学部臨床検査医学講座
pp.837-842
発行日 1998年9月1日
Published Date 1998/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903597
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新しい知見
臨床検査における標準化の一環として,1995年にNCCLSより“基準範囲”の概念と設定法に関する指針が公告された.その内容は,従来のいわゆる“正常値”のとらえかたや設定法に誤解や混乱が多くみられた状況を配慮し,“基準値”を改めて再考したものとなっている.本指針で再定義された内容が普及するに伴い,基準範囲に対する考えかたも標準化されつつある.ただし,基準範囲の設定に関する処理過程のすべてが明確になったわけではなく,基準標本群の抽出法や標本に含まれる外れ値の除外法また統計処理法など,実践上の課題がいくつか残されている.それらの問題に具体的に対処するための手法の1つが潜在基準値抽出法である.その原理は多項目検査データを利用して外れ値を除外する考えかたであり,従来から提唱されていた概念を統計学的理論とデータ解析技術を駆使して実用化した手法である.
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