特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩
4章 臨床検査情報の収集とデータマイニング
3. データマイニングの事例
4)潜在基準値法による日常検査情報の活用
市原 清志
1
Kiyoshi ICHIHARA
1
1山口大学医学部保健学科病態検査学
キーワード:
潜在基準値法
,
潜在異常値除外法
,
潜在基準値抽出法
,
潜在基準値平均法
,
データマイニング
Keyword:
潜在基準値法
,
潜在異常値除外法
,
潜在基準値抽出法
,
潜在基準値平均法
,
データマイニング
pp.1471-1485
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100329
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はじめに
異常値を含む大規模な検査情報から,データマイニング手法を使って,健常とみなしうる個体を選び出し,その情報を基準範囲の設定,生理的変動要因の分析(短期・長期個体内変動幅の設定,季節変動の分析),精度管理に応用する方法論を,筆者は総称して潜在基準値法と呼んでいる.基準範囲の設定に利用する場合,異常値の割合の少ない健診情報から出発する潜在異常値除外法と,異常値を多く含む日常検査情報から出発する潜在異常値抽出法に分けて考えることができる1,2).両者は基本的に同じ原理に基づいているが,異常値の割合の違いから,その除外法が異なったり,年齢の偏りに対する補正の必要性などの点が異なる.潜在基準値法を生理的変動の分析に用いれば,測定値の性差の有無,加齢変化の有無,個体内変動幅の算出などを日常検査情報から行うこともできる.また,精度管理に利用する場合,潜在基準値平均は測定値の長期的な変動の分析に利用しうる(潜在基準値平均法3)).本稿では潜在異常値除外法と潜在基準値抽出法を中心に,目的に応じた方法論の実際,妥当性,適用限界,発展性について解説を行う.また,エクセルを使った簡略法も紹介する.
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