オピニオン
ドミニカ共和国への医療協力の経験
伊東 盛夫
1
1大分医科大学臨床検査医学
pp.322
発行日 1998年4月1日
Published Date 1998/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903377
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カリブ海に浮かぶイスパニョラ島は,コロンブスが1492年に初航海で発見し,新世界で最初のコロニーを造った島である.米国フロリダ半島の南に位置し,マイアミから飛行機で約2時間の距離である.ドミニカ共和国(ド国)は,イスパニョラ島の東約2/3を占め,島の西側はハイチである.ド国の面積は九州の1.5倍,人口は約700万で,国語はスペイン語である.農業国で国民の年間所得は1人当たり約1,000ドルと低い.大分医科大学に対し,文部省を通じて外務省と国際協力事業団(JICA)から,ド国への医療協力の依頼があり,大学を挙げて取り組むことになった.この事業は,「ド国消化器疾患研究・臨床プロジェクト」と呼ばれ,首都サント・ドミンゴ市に無償資金協力により約4,000平方メートルの消化器病センター(以下センター)が建設された.このプロジェクトは,1990年より7年間継続された.この間,本学の学長をはじめ医師,看護婦,臨床検査技師らの職員が延べ81名ド国に派遣された.また,ド国から計26名の研修員(うち臨床検査技師5名)を本学に受け入れた.
本プロジェクトでは消化器疾患の診断技術の向上とともに,臨床検査部門の強化が重要な柱の1つであった.われわれの検査部も全面的に協力することにした.
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