けんさアラカルト
ドミニカ共和国消化器疾患研究・臨床プロジェクトにおける技術移転
菅原 弘一
1
1大分医科大学附属病院検査部
pp.804
発行日 1996年9月1日
Published Date 1996/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902867
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開発途上国の経済開発や福祉・医療の向上を支援するために,わが国が行っている政府開発援助(Official Development Assistance;ODA)は,①開発途上国に対する返済義務のない建物や医療機器などの2国間贈与(無償資金協力)と,日本の進んだ技術を移転することを目的として,専門家(医師,臨床検査技師,看護婦など)の派遣,相手国技師などの日本施設での研修受け入れ,またはそれらに伴う試薬など材料の調達および送付などの技術援助協力,②2国間貸付(有償資金協力),③国際機関に対する出費,拠出の3つの柱からなっている.一般的には,開発途上国には返済義務のない贈与が多く,また豊かで返済能力のある国々には2国間貸付が多く行われている.2国間贈与の大部分は国際協力事業団(Japan International Cooperation Agency;JICA)が担当している.これらの援助を行うに当たって,わが国は相手国からの正式な要請を受けて行う,いわゆる要請主義の立場を原則的にとっている.
JICAが行っている派遣事業には,専門家と呼ばれる技術者の派遣と,各種調査団の2つが含まれている.専門家派遣の目的は,専門家から相手国技術者(カウンターパート)への技術移転を通じて,相手国の技術水準の向上を図り,社会経済開発に貢献することにある.
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