増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
輸血臨床
院内輸血システム
前田 平生
1
1埼玉医科大学総合医療センター輸血部
pp.183-189
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903132
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はじめに
輸血は,血液成分の不足を補充することを目的とし,その即時的な効果については異論のないところである.しかし,輸血に使用する血液は,一人一人の善意の献血によるものであり,ロットを構成しえず,しかも,その数は数百万に及ぶことから,予期せぬ免疫反応やウイルス感染などのリスクが常に存在する.こうして輸血は,大量に供給される製剤としての側面と他人の血液を使用する臓器移植との側面を併せもっている.
こうした状況の下,安全で,効果的な輸血が行われるためには,①血液を採取,供給する血液センターには,他の薬剤と同程度の安全性の確保が要求され,②それを実際に使用する病院には,臓器移植に匹敵する倫理性と合理性が要求される.ここでは,病院内の日常の輸血業務について,輸血の適応の決定から,血液製剤の選択・発注・調製,輸血前検査,輸血の実施,副作用調査まで,院内でどのような手続き,流れで輸血が行われているかを説明し,それぞれの段階での現時点での問題点について述べる.
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