発行日 1965年11月15日
Published Date 1965/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915815
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《病院内輸血部の業務の特殊性》
数年来,輸血後の肝炎が多くなってきたという理由から,各方面から輸血についての反省がなされている。血液は人間の体からしか得られないものである以上,誰かがそれを提供しなければならないのは当然のことであるが,最近までは,この解決を,もっとも容易な方法に求めてきたのであった。つまり金で買うということをやってきた。しかも,ほとんど由来の不明の血液をである。本来ならば,輸血さるべき血液は,たとえそれが受血者に直接知らされなくとも,どこの誰さんの血液で,健康な人からのものであるという保証がなければならないはずのものである。このような血液の由来を考えるとき,輸血という医療行為は単なる治療手段ではなく,ビタミン剤や,抗生物質の投与と同一視されるものではなく,社会的な背景,人間同志のつながりを基盤としたものであるといえる。そうすると,当然のことながら,病院内の輸血部の活動は単なる薬品倉庫,あるいは臨床検査室であることが許されなくなってくる。ここに病院内輸血部の作業の第一の特殊性がある。ついで,一般の臨床検査室においては,たとえどのように異常な結果が生じてもそれはそれだけのことであり,検査技術者も,そのまま,そのように報告さえすればよいであろう。
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