増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
血液型
血小板
PAIgG,PBIgGの定量
倉田 義之
1
1大阪大学医学部附属病院輸血部
pp.170-172
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903128
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はじめに
抗血小板抗体には抗血小板自己抗体と抗血小板同種抗体の2種類が存在する.抗血小板同種抗体は自己の血小板が持っていない抗原に対する抗体で,他人の血小板とは反応するが,患者自身の血小板とは反応しない.一方,抗血小板自己抗体は他人の血小板のみならず,患者自身の血小板とも反応する抗体である.抗血小板自己抗体が病態の中心的な役割を果たしている代表的な疾患が特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)である1).この病気では抗血小板自己抗体が患者血小板に結合するために流血中の血小板は早期に破壊されてしまい,末梢血中の血小板は減少する.
抗血小板抗体の測定法としては,患者血小板表面の抗体を検出する方法と,患者血清中の抗血小板抗体を検出する方法の2種類に分けられる.患者血小板表面に結合している抗体をplatelet-associated IgG(PAIgG)と呼んでいる.PAIgG測定法は抗血小板自己抗体のみを検出し,抗血小板同種抗体は検出しない.一方,血清中に存在する抗血小板抗体をplatelet-bindable IgG(PBIgG)と呼んでいる.PBIgGは抗血小板自己抗体のみならず抗血小板同種抗体も検出する.
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