臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅶ.免疫血清検査
74.IgG,IgA,IgMの定量
伊藤 忠一
1
Chuichi Itoh
1
1岩手医科大学・臨床検査医学
pp.2268-2269
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219395
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異常値を示す疾患
免疫グロブリン(以下Igs.IgD,IgEは除く)の血清濃度に異常をきたす疾患は表1のごとくである.血清Igs値上昇の多くはpolyclonalである.polyclonalな増加は一般にIgG,IgAおよびIgMのすべてのクラスの増加として観察されるが,ときに1つのクラスのみが優先して増加する場合もある.たとえば,急性肝炎とくにA型肝炎ではIgMの増加が主で,IgGやIgAの増加は軽度のことが多い.ところが肝炎が遷延し,慢性肝炎とくに活動型,肝硬変症に移行するとIgGやIgAの幅広い増加が起こる.このIgAの増加はセ・ア膜電気泳動像でみられるβ-γbridgingの原因である.アルコール性肝障害,消化管や呼吸器の感染症ではIgAの増加,新生児の胎内感染症,trypanosomiasis,胆汁性肝硬変症などではIgMの増加,SLEなどではIgGの増加が著明である.polyclonal Igsの増加の証明は一般に疾患の診断に直接結びつかないが,病態の解明に有用な手がかりを与え,また疾患の経過情報となりうる.
一方,monoclonal Igs(M蛋白)の出現,増加の証明はかなりの診断的意味をもつ.しかし,増加しているIgsがmonoclonalであるかどうかは定量するだけでは決定し難く,後述するごとき各種の検索にまたなければならない.
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