生体のメカニズム 凝固・線溶系・7
抗リン脂質抗体症候群とその診断
山﨑 雅英
1
1金沢大学医学部第3内科
pp.1047-1050
発行日 1996年11月1日
Published Date 1996/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902923
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はじめに
後天性血栓傾向をきたす疾患として近年注目されている疾患に抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome;APS)がある.本症候群は1952年,ConleyとHartmannにより初めて報告された1).この報告では,出血傾向の記載がみられるが,その後,凝固時間の延長がみられるのもかかわらず,臨床的のは血栓症がみられる症例の報告が相次ぎ,1986年,抗リン脂質抗体症候群の概念が提唱されるようになった2)(表1).リン脂質に対する抗体としては,従来,血清梅毒反応生物学的偽陽性(biological fasle positive;BFP)が取り上げられたが,その後,血漿混合試験などによりループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant;LA)が,ELISAにより抗カルジオリピン抗体(amti-cardiolipin ahtibody;aCL)の測定が可能となった.さらに最近,aCLは実際には血清中に存在するアポリポ蛋白の1つであるβ2-glycoprotein-Ⅰ(β2GPⅠ)が,カルジオリピンと結合することにより構造変化をきたしたものと反応することが報告され3),その意義が注目されている.
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