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ゲル内凝集反応による血液型判定法
狩野 恭一
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1オリンパス光学工業(株)バイオメディカルリサーチセンター(BRC)
pp.769-770
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902859
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赤血球のような粒子状抗原と対応する抗体を含む血清を試験管内で混合すると,赤血球は抗体により互い違いに結合し,大きな塊となって管底に沈むのがみえる.このように簡易な免疫血清学的方法,すなわち凝集反応は,輸血検査の主な手法として現在でも使われている.その主な理由は,①B/F分離を必要としない,②主要血液型ABOの同定に用いるヒト由来の抗体がサイズの大きい凝集反応に適したIgMであり,その特異性がシャープで誤判定を起こさない,ためである.
一方,凝集反応の判定は主観的な目視判定のために,特に弱陽性の場合,データの信頼性に乏しく,いまだに熟練者の“名人芸”に頼らざるを得ない.さらに反応像そのものを記録保存することが難しく,昨今のPL法対応や標準化に適した方法とはいいがたい.凝集反応の簡易性を生かし,これらの欠点を是正すべく考案されたものがゲル内凝集反応である.その1つであるMicro Typing System(MTS)は,すでに欧米各地で数年間実施され,特に病院内輸血検査で高く評価されている.
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