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ヒト血清中γ-GT測定の勧告法
山舘 周恒
1
,
関口 光夫
1
1日本大学板橋病院臨床検査部
pp.771-773
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902860
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はじめに
γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-glutamyl-transferase;γ-GT)は,1952年にHanesらによって存在が確認された膜結合酵素であり1),肝,腎,膵に局在する.肝・胆道系疾患の検査としての意義が高く,胆道閉塞症ではアルカリホスファターゼ(alka-line phosphatase;ALP)よりも早期に上昇するとされている.また,飲酒を継続すると上昇することから,健康診断の項目として採用している施設も多い.
γ-GTの反応系と,その主な測定基質を表1に示す.反応系でのL-γ-グルタミル-R1は供与体基質であり,R2はL-γ-グルタミル基の受容体である.現在は複数の供与体基質が合成されているが,L-γ-グルタミル-4-ニトロアニリド(Glu-4-NA)が歴史的にも古く,スカンジナビア臨床化学会(SSCC)やアメリカ臨床化学会(AACC)の標準法に採用されている2,3).しかし,Glu-4-NAは溶解性が低く,溶液中での安定性にも問題があることから,その3位をカルボキシル基で置換したL-γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリド(GluCANA)が合成され,国際臨床化学会(IFCC)の勧告法に採用された経緯がある4).その後,欧州臨床検査標準化委員会(ECCLS)でも,測定温度を37℃にした以外はIFCCと同じ条件で標準法を定めた5).4
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