1ページの知識 血清
沈降反応以外のゲル内血清反応
安田 純一
1
1国立予防衛生研究所
pp.767
発行日 1969年9月15日
Published Date 1969/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906524
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昔の血清学では,主として血清を抗原として異種動物を免疫し,得られた抗血清との間に沈降反応(重層法または混合法)を試みることにより,抗原抗体反応の特異性が研究されていた,このような在来の沈降反応の限界を破った動きに2方向があった.1つは赤血球などの粒子に抗原を吸着させ,元来沈降反応であるものを凝集反応の形に移して観察しようとするいき方である,Middlebrook-Dubosの反応,梅毒凝集法などがその例であり,Waaler-Rose試験も,現象面からみれば,この系列に属する.いま1つは,ゲル内沈降反応(免疫拡散法)の開発によって,沈降反応そのものの鋭敏度・特異度を向上させようという,正攻法であって,免疫化学のはなばなしい展開はおもにこの第2の突破口から出発したのであるが,実際の血清検査では,こうした術式はなじみのうすいものでしかなかった.しかし,Milgromらによって,沈降反応以外の種々の血清反応がゲル内で実施できることが明らかにされるに及んで,血清学の全領域に免疫拡散法の応用範囲が開けた.以下,代表的な術式を紹介する.
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