増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅹ.技術講座
6.ウイルス検査
国広 誠子
1
1山口県立中央病院中央検査部
pp.318-320
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902812
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はじめに
感染症の原因微生物には,細菌,ウイルス,Rickettsia,Chlamydia,真菌および原虫・寄生虫など多くの微生物が含まれる,従来から感染症の確定診断は分離培養によって行われてきた.したがってルーチン検査では細菌および真菌を対象として行われ,他の微生物検査,特にウイルス検査では分離培養には多くの時間を要し,さらに操作の煩雑さゆえに通常,抗体価の測定によって行われている.しかし化学療法の進歩した現在,多元化する感染症の診断・治療を目的とした検査では,分離培養を主体とした検査によらない迅速検査が要求されてきている1,2).
免疫学あるいは分子生物学の進歩による免疫学的抗原検出法や遺伝子診断法は,従来からの微生物検査の考えかたを変え,直接検体中の抗原を短時間に検出することを可能にした.特にモノクローナル抗体の開発によって,特異性の高い感染症の免疫学的検査を行うことができるようになった.両者の比較では感度の点で遺伝子診断が優れているが,免疫学的抗原検出法は約30分以内に結果が得られ,しかも簡便に検体中の抗原を検出できる利点があり,広く利用されつつある.
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