増刊号 血液・尿以外の体液検査法
7 十二指腸液
D.微生物学的検査
国広 誠子
1
1山口県立中央病院中央検査部
pp.617-619
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900178
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常在菌叢
十二指腸液の細菌学的検査は,肝・胆道系感染症の原因微生物の検出を目的としたスクリーニング検査として行われ,後述する胆汁・膵液の検査とその術式に大差はない.しかし,十二指腸液は,その性質上常在菌叢の混入が避けられないために,成績の判定は,常在菌感染症の発症機序を十分理解したうえで行わなければならず,本稿ではその要点について記載する.
十二指腸液は,固有の十二指腸分泌液のほかに胆汁,膵液,胃液が混合したものであり,通常,胃液が正酸であれば胃液と同じようにほとんど無菌状態に等しく,Streptococcus spp.,Lactobacillus Sspp.,Bifidobacterium spp. や酵母様真菌などのGram陽性菌が少数存在するにすぎない.しかし,食物を摂取したり,胃液が低酸あるいは無酸状態になったりすると,十二指腸液の総菌数は増加し,小腸下部や大腸の腸内菌叢を構成している細菌が定着し始める.
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