増刊号 血液・尿以外の体液検査法
9 膵液
D.微生物学的検査
国広 誠子
1
1山口県立中央病院中央検査部
pp.655-656
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900188
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常在菌
膵液は無色透明,無臭で,やや粘稠性のアルカリ性(pH7.6〜8.7)の液である.その主成分はNaHCO3,NaClなどの塩類と膵消化酵素であり,1日の分泌量は1,000〜3,000 mlに及んでいる.膵消化酵素にはトリプシン,キモトリプシン,エラスターゼなどの蛋白分解酵素(膵酵素の70%)とアミラーゼなどの殿粉分解酵素やリパーゼ,ホスホリパーゼAなどの脂肪分解酵素が存在する.
膵は正常状態では前述の膵消化酵素を非活性型で分泌し,十二指腸内で活性化され,また膵消化酵素の阻害物質の作用などにより自己消化より保護されている。したがって,膵液中にはこれらの消化作用などの影響により細菌は存在しないとされている.
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