一口メモ
最近の法定伝染病
工藤 泰雄
1
1東京都立衛生研究所微生物部
pp.171
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902768
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わが国の感染症の疾病構造は,戦後50年の間に大きく変貌を遂げたが,法定伝染病もその例外ではなく,戦後猛威を振るった赤痢や腸チフス,パラチフスといった消化器系伝染症をはじめ多くの疾病はほぼ完全にコントロールされるまでに至った.しかし,国内での発生が激減したといっても決して問題がすべて解決されたわけではない.特に最近では,海外旅行の日常化に伴い諸外国から持ち込まれるいわゆる輸入感染症の増加が指摘され,赤痢などではその発生の半数以上が海外感染例で占められるなど,新たな対応の求められる事態を迎えつつある.現在も依然世界的に大流行しているコレラの問題もわが国への影響は大きく無視できない.
本稿では,こうした伝染病の中で,特に最近新しいタイプの菌による疾病が話題となっているコレラに焦点を当ててその発生動向など概略紹介してみたい.
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