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アンチセンス療法
北島 勲
1
1鹿児島大学医学部臨床検査医学講座
pp.478-479
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902699
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■アンチセンス療法とは
生物の設計図ともいうべき遺伝子の本体はDNAである.DNAはリン酸と糖が交互に連なった鎖になっていて,この鎖にアデニン(A),グアニン(G),チミン(T),シトシン(C)の4種類の塩基が糖に結合する形で作られている.DNAは核の中で二重らせんとして存在しているが,この二重らせんはセンス鎖とアンチセンス鎖から成り立っている.アンチセンス鎖を鋳型としてそれに相補的な配列を持ったメッセンジャーリボ核酸(mRNA)が転写され,このmRNAはリボソームで翻訳され,蛋白が翻訳される.アンチセンス療法は,アンチセンスDNAがセンス配列のmRNAとワトソンクリックの塩基対(AはT,GはCと水素結合する)を作り,ハイブリッドを形成させることを目的としている.このRNA-DNAハイブリッドはRNaseHの作用により分解されるが,またはリボソームにおいて翻訳を阻止することにより蛋白合成をブロックしてその生物活性が抑えられる(図1)1,2).
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