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実験講座
アンチセンス医薬品開発の現状
Recent development of antisense drug
村上 章
1
Akira Murakami
1
1京都工芸繊維大学繊維学部高分子学科
pp.309-314
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901593
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「アンチセンス医薬品は21世紀の新しい医薬品として登場するか」1970年代の後半にジョンズホプキンス大学のTs'o, Miller1)やハーバード大学のZamecnikら2)によってアンチセンス法が提唱されて以来20年,その実現に向けた精力的な研究の結果,ようやく文頭にあげた質問に「YES」と答えられるようになってきている。一方で,アンチセンス法に批判的な研究者も多い。おそらくアンチセンス法を試みた結果,期待したような結果が得られなかったり,医薬品としての可能性が当初に謳われた程ではなかったことによるものと考えられる。アンチセンス分子がアンチセンス効果を発揮して遺伝子制御を行っていることは確かであるが,非アンチセンス的な効果も結果に大きく影響を与えており,そのような結果がネガティヴなコメントにつながっているものと思われる。しかし,アンチセンス法は原理的に極めて理にかなっており,アンチセンス法に基づく遺伝子制御法は今や多くの研究者にとって不可欠で重要な研究手法になっている。
本稿では,アンチセンス法をポジティヴに捉え,近年益々注目されているアンチセンス医薬品開発の現状を,アンチセンス分子の設計基本理念やアンチセンス機構解明の試みを中心に概説する。ただし,アンチセンス法の成功例は文献検索で容易に見出されるのでここでは触れないことにする。
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