感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[7]薬剤感受性検査
5 抗真菌剤の感受性試験
山口 英世
1
1東京大学応用微生物研究所生物活性研究部
pp.889-894
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205065
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
抗真菌剤の感受性試験の必要性
一般に抗微生物薬の感受性試験が日常検査として行われるのは次の目的からである.①臨床効果の予知,②最適または有効な薬剤の選択,③薬剤耐性に関する特殊な問題の確認,④治療不成功例の原因究明.抗細菌剤と同様に,抗真菌剤についても真菌症,特に深在性真菌症の化学療法を行うに際して感受性試験が不可欠なことは,いうまでもない.それにもかかわらず,以前にはこの試験を実施する研究・診療機関はごく少数であった.
しかし,今や抗真菌剤の感受性試験の必要性は著しく増大している.その背景として第一に挙げられるのは,重篤な深在性真菌症の発生頻度ならびに死亡率が上昇の一途をたどっていることである.一方,これと平行して,新しい系統的抗真菌剤の開発・研究が進み,古くから使用されてきたポリエン系抗生物質アンホテリシンBに加えて,フルシトシン(FC)およびイミダゾール系合成剤ミコナゾール(さらに欧米諸国ではケトコナゾールも)が臨床的に使用されるようになり,さらに近い将来トリアゾール系合成剤フルコナゾールおよびイトラコナゾールも実用化される見通しである.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.