特集 最近の薬物療法と問題点
抗真菌剤
福島 孝吉
1
1横浜市立大学医学部第1内科
pp.751-756
発行日 1968年10月20日
Published Date 1968/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204008
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真菌症を,浅在性と深在性とに大別することができる。前者は,皮膚や粘膜に病変があるもので,治療の上で薬物を直接に作用させることは,さほど困難なことではない。後者は,さらに深部に,また内臓の実質内に病変のある場合で,薬物は血液中に入り,病巣に到達する必要があり,吸収,血中濃度,排泄また副作用などのいくつかの要件を満足しないと,臨床的な効果は期待できない。
一方,薬物の方も,微生物を殺しあるいは発育を阻止する作用の機転によつて,消毒剤と化学療法剤とに分けて考えるのが便である。前者は,一般的な細胞毒であつて,病菌の如何を問わず,細菌にも真菌にも有効なものであるが,宿主たる人体にも障害の強いものである。後者の化学療法剤は,病菌には害を及ぼすが,人体にはほとんど無害のものであつて,病菌の種類によつて,効果に大差がある。代謝機能を阻害する作用が特異的であるためである。
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