生体のメカニズム 体液調節機構・9
酸塩基代謝調節の異常
宮嶋 芳弘
1
,
高市 憲明
2
1東京大学医学部第4内科
2公立昭和病院腎臓内科
pp.802-804
発行日 1995年9月1日
Published Date 1995/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902497
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総論
体液のpH(=-log[H+])は正常では7.40([H+]=40nM)前後に保たれており,これを酸性に傾けようとする病態がアシドーシス,アルカリ性に傾けようとする病態がアルカローシスである.
pHはHenderson-Hasselbalchの式より,
pH=6.1+log[HCO3]/0.03×pCO2
と表される.ここで炭素水素イオン(HCO3-),二酸化炭素(CO2)は体内での最も主要な緩衝系であり,このうちHCO3-は腎臓で,CO2は肺で調節されている.酸塩基平衡異常のうち,HCO3-を変化させる病態が代謝性変化,CO2を変化させる病態が呼吸性変化である.pHが実際に7.40よりも低くなった状態をアシデミア,高くなった状態をアルカレミアと呼ぶ.酸塩基平衡異常の複数の病態が合併しているときは(ただし,呼吸性アシドーシスと呼吸性アルカローシスが合併することはあり得ない),pHはそれぞれの病態の程度によりアシデミアからアルカレミアまでさまざまな値を取り得る.
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