検査データを考える
細菌検査
吉田 良滋
1
,
賀来 満夫
1
,
河野 茂
2
1長崎大学医学部臨床検査医学教室
2長崎大学医学部第二内科
pp.805-809
発行日 1995年9月1日
Published Date 1995/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902498
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はじめに
近年,抗菌薬の目覚ましい開発により,細菌感染症の治療には,多くの福音がもたらされた.しかし,これら抗菌薬に対して,耐性を獲得した細菌による感染症がにわかにクローズアップされ,問題となっている.また,コンプロマイズドホストにおける弱毒菌による感染症の頻度が増加しており,細菌感染症は新たな局面を迎えることが予想される.
細菌感染症において臨床検査室が果たす役割は,塗抹培養検査や抗原および抗体検出に基づく起炎菌の決定,感受性ディスクおよび液体希釈法を用いた薬剤感受性の決定が中心であるが,MRSAをはじめとする院内感染対策情報,分子生物学的手法を用いた迅速診断法などの任務も背負っており,細菌検査室が果たす役割はますます重要となっている1).
本稿では,実際の症例を提示し,細菌検査所見よりいかにして診断が行われたかを,若干のコメントを加えながら概説する.
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