病気のはなし
挫滅症候群
岸 正司
1
,
平出 敦
1
,
岩井 敦志
1
,
田中 裕
1
,
嶋津 岳士
1
,
吉岡 敏治
1
1大阪大学医学部救急医学教室
pp.750-755
発行日 1995年9月1日
Published Date 1995/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902484
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新しい知見
阪神・淡路大震災では,平時あまり経験することのない挫滅症候群の患者が生じた.人類は有史以来,こうした災害を数多く経験しており,挫滅症候群は必ずしも新しい外傷とはいえない.しかし今回の災害では重症外傷治療が可能な時代に,また可能な地域で挫滅症候群の患者が診療されたことが新しい認識をもたらした,1つは集中的な診療体制のもとで挫滅症候群の臨床像が詳細に検討され得たことである.また,強力な重症治療の技術が極めて重症の挫滅症候群の患者をも救命し得ることが示されたことである.こうしたことは従来あまり目を向けられることのなかったこの特異な外傷に注目を集め,病態の解明に新しい動機を与えた.
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