明日の検査技師に望む
自立意識を持とう
杉田 収
1
1新潟県立看護短期大学
pp.480
発行日 1995年6月1日
Published Date 1995/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902412
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自立するとは,①物理的自立(自分の足で立つこと),②経済的自立,③精神的自立,④教育的自立,⑤研究的自立,⑥社会的自立であろうと考える.この6種の自立のバランスが適当であれば,意義ある生きかたができるものと思われる.しかしだれもが物理的に自分の2本足で立てないときがくる.“物理的自立”1つが損なわれても,大変な事態になることは容易に想像される.そのときは主に“精神的自立”に頼っていかざるを得なくなるはずである.そのときのために,精神的な側面で自分には何が必要なのか,考えていなければならないと思う.
昨今のいじめ問題は,教育的自立と社会的自立の欠乏によるものである.人の親であれば,必要な時期に,必要な時間を子供の教育にかけなければならない.それは親としての意識的な教育であって,他の者には代えられない.また子供は親だけでは育てられるものではない.隣のおばちゃんをはじめとする大勢の,先に生まれた大人が,意識的に育てなければならないのである.これは社会的自立(あるいは社会的実践)意識によって行われる行為である.
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