けんさアラカルト
アコニターゼを用いた血清鉄の新しい酵素的測定法
藤田 剛
1
1オリエンタル酵母工業(株)大阪工場生化学開発・製造課
pp.318
発行日 1995年4月1日
Published Date 1995/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902288
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現在,血清や尿中の多くの電解質が酵素法で測定できるようになってきた.これらの分析法は,酵素の高い基質特異性や,温和な反応条件(pH,室温)などの点を巧みに利用した方法である.酵素で電解質を測定するとき,その電解質が酵素の,①基質である場合や,②活性化剤である場合,また,③アポ化した不活性な金属酵素のポロ化イオンである場合などがある.
最近,私たちが開発したアコニターゼ(ACN)を用いた血清鉄の新しい酵素的測定法1)は上述の③に属する測定法である.ブタ心筋ミトコンドリア由来ACNは754のアミノ酸残基から成る分子量約83kDaの[4Fe-4S]クラスターを有する金属酵素2)で,TCAサイクルの主要酵素である.[4Fe-4S]クラスター構造を持つ活性型のポロ酵素を金属キレート剤であるo-フェナントロリンで処理することによって,[3Fe-4S]クラスター構造を有する安定な不活性型のアポ酵素を容易に調製することができる.しかも,この不活性型のアポ酵素はFe2+を速やかに分子内に取り込み,再び活性型のポロ酵素に変換できる酵素である.ACNの分子内の鉄イオンを介してアポ酵素-ポロ酵素の相互交換を利用した点が本法の特徴である.
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