技術解説
血清鉄および鉄結合能の測定法とその意義
桝屋 富一
1
,
梅田 鉄哉
1
MASUYA TOMIICHI
1
,
UMEDA TETSUYA
1
1九州大学桝屋内科
pp.194-200
発行日 1964年3月15日
Published Date 1964/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916739
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まえがき
成人の体内に含まれる鉄量は約3〜5gであって,その65〜70%は血色素成分となって赤血球中にあり,また約15%は肝,脾,骨髄,腎の中に貯蔵されている。血清鉄はわずかに0.1%(3〜5mg)にも達しない量ではあるが,これを介して血漿に出入する鉄量は1日に30mg以上にも達し,その25〜30mgの鉄が骨髄での血色素生成のために利用される1)(図1)。換言すれば血清鉄は,骨髄における造血機能を支えるものといえる。しかしこの血清鉄は遊離した型で存在するものではなく,常にある種のタンパクに結合されて存在する。このタンパクはCohnの血漿タンパク分画Ⅳ-3,42)のうち,Subfration(亜分画)Ⅳ-73)から結晶として取り出され4),電気泳動ではβ1-Globulinに属し5)Transferrin(トランスフェリン)別名Siderophilin,β1-metalbinding globulin,Iron Binding Protein(鉄結合タンパク)等と呼ばれる。今日,血清鉄,血清トランスフェリン(一般には総鉄結合能,Total lron Binding Capacity,TIBCとして)の測定が一般化され,これらが貧血はもちろん諸疾患により,鋭敏に変動することから,その臨床的意義は大きなものとなって来た。
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