研究
血清鉄および不飽和鉄結合能の直接測定法の吟味—I.血清鉄
古郡 浩
1
,
斎藤 正行
2
1農林省畜産試験場生理部第2研究室
2東大・分院生化学
pp.1011-1015
発行日 1970年10月15日
Published Date 1970/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906936
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血清鉄の測定法には多数の報告があるが,一般に血清に塩酸を加えて強酸性としトランスフェリンから鉄を遊離させたのち,トリクロル酢酸で除タンパクし,次いで鉄を2価に還元し,Ferroイオンと親和力の強い発色剤を加え発色させて測定する比色法1-3)が,広く用いられている.
しかしこの方法はトリクロル酢酸による除タンパク操作を含むことに問題がある.すなわち,(1)除タンパクにより鉄の沈殿損失が起こること,(2)除タンパク後の濾液が必ずしも透明でなく,比色時の誤差になること,(3)除タンパクと加熱によって検体量の減少を伴うこと,(4)除タンパクを含むことが操作を繁雑にし,かつ汚染の機会を多くしていることなどである.最近金属や電解質の測定に原子吸収光度法が盛んに用いられるようになったが,血清鉄の測定に関しては血清中の極微のヘモグロビン鉄の存在が干渉し,また機器そのものが鉄に対して感度が悪いこともあって実用性がない.
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