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遠隔病理診断システム
高橋 基夫
1
1新日鐵室蘭総合病院外科
pp.833-834
発行日 1994年9月1日
Published Date 1994/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902127
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現代医療における病理診断の占めるウエイトは極めて大きい.精度の高い病理情報が速やかに臨床医と病理医との間で交換されて初めて信頼性の高い診断が可能となる.しかしながら地域医療の現状をみると病理診断部を有する病院は少ない.病理専門医の絶対数はいまだ少なく,かつその大半は大学病院に集中しているため,常勤の病理医のいる病院は全国で約9%にすぎず,多くの一般病院ではその病理診断を大学病院,もしくは民間の臨床検査会社に委託しているのが現状である.多くの臨床医は病理診断の入手に時間的,地理的制約を受けていることは事実であり,特に手術中の迅速病理診断の実施は困難を伴うことが多い.また,病理医間で1枚のプレパラートを前にしてのディスカッションはしばしば行われるところであるが,これが全国的規模での情報交換となると時間と費用のロスは大きい.このような背景から病理顕微鏡画像の遠隔電送による病理組織診断システムの開発,実用化がなされてきた3).
画像遠隔伝送の試みは約20年前より試みられてきたが,画質の面で実用の域にほど遠いものであった.近年の高性能CCDカメラの開発,HDTVの普及,光ファイバー網の全国普及などが遠隔病理診断システム(telepathology)を現実のものとした.わが国でも数十施設と数は少ないが,数年前より臨床応用されている1).
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