特集 ロボティクスと臨床検査
Ⅲ.情報処理
6.遠隔病理診断(テレパソロジー)
斎藤 建
1
Ken SAITO
1
1自治医科大学病理学教室
pp.94-97
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901743
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はじめに
さまざまな画像診断の分野のうち,病理学的診断のための画像作製,つまり標本作製の主要な過程はまだ手仕事である.病理学的画像診断の自動化は,それが最も容易と考えられた婦人科領域の細胞診で,20年以上前から試みられてきた.しかし,まだ実用化されておらず,現在ではその試みさえ中断されている.本号でも画像処理,パターン認識,三次元認識の新たなセンシング技術が紹介されているが,自動機器による画像診断が,人の目による画像診断を,コストパフォーマンスの点でも凌駕できるようになるには,今後かなりの時間が必要であろう.
病理学の分野で,現代のハイテク技術が実用化されつつあるのは,診断そのものについてではない.病理画像の遠隔地伝送システムにハイテク技術が応用されているのである.病理検体あるいは標本を人が持って行ったり,郵便で運んだりするのは時間と手間がかかる.その逆に,人がわざわざ遠くまで標本を見に行くのも大変だから,標本や人を運ぶ代わりに画像を送ろうということである.これは一般の検体検査における,検体搬送システムに相当するとも言えよう.
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